文京区、東京ドームのそばに小石川後楽園があります。面積約7万㎡の回遊式築山泉水庭園です。水戸徳川家上屋敷(当初は中屋敷、のち上屋敷火災後、上屋敷となる)の庭として1629年(寛永6年)、造園が開始され、1659年に完成しています。国の特別史跡、特別名勝の二重指定を受けている名園です。
枝垂れ桜、紅葉など多くの樹木、花を楽しむことができます。また、大名庭園には珍しい稲田も庭園内に見ることができます。この庭園は二代藩主光圀が三代目綱條の妻に農作業を教えるため、自ら作ったものと伝えられています。
ちなみに、水道橋の由来-神田上水掛樋で紹介した神田上水もこの上屋敷内を流れていました。
小石川後楽園のように江戸時代から残る大名庭園が東京にはいくつかあります。六義園、清澄庭園などはその一つです。参勤交代による江戸滞在中の滞在、また人質として江戸に常住する妻子の住まいとして大名屋敷が江戸に設けられたため、今日に大名庭園をいくつか見ることができます。
大名屋敷は四つの種類があります。
上屋敷
大名の江戸における本拠。大名の私生活のための邸宅、また家臣たちの居住施設。
中屋敷
大名家の世継ぎ、隠居の居住施設
下屋敷
上屋敷など火災の際の避難場所、別荘、保養所。また、野菜などの食料供給施設の意味合いも。
蔵屋敷
大名家本国からの物資荷揚げ場所、直場所。
このようにたくさんの大名屋敷が存在するため、江戸は時代にもよりますが、実に80パーセントの土地が武家地として利用されていました。また、その屋敷の立地にも身分による差があり、外様大名はかつて日比谷入り江があったあたりに集中しています。これは埋め立てを大名自身にやらせるためです。逆に旗本の場合は、多くは宅地造成不要な山の手台地上に配置されています。